ある日突然、妻は逝ってしまった―。まだ妻の微かな匂いの残る寝室、でも妻のぬくもりはもう無い…。ショックで何も考えられず葬式の準備もままならない僕を、妻の妹のもえが助けてくれていた。妻と同じ顔をしたもえが身の回りの世話をしてくれていると、まるで妻が帰って来てくれたようだ。もえの寝顔を見ているとダメだと分っていても触れてしまい…。
【メーカーの作品紹介ページ】
溢れる慈愛と静かなトーン
柔らかい表情と美しいセックス。悲しみを共有した同士の一瞬の心の通い合いをAVの枠組みで静かに表現。煽られる欲情とは別の角度からエロスを描いています。
◎「私のこと、おねえちゃんと思っていいいですよ」と義兄に告げてセックス
◎「お姉さんとしてたこと教えて」と2度目のセックス
◎何度も交わったことを示すイメージシーン
◎義兄から離れることを告げ最後のセックス
という構成です。
相手を思うまなざし
作品を通して印象に残るのはもえちゃんの柔らかなまなざしと表情です。
最初のパートの導入。義兄は悲しみが癒えずに酒がやめられず、酔ったままもえちゃんの寝ているところに来て思わずキスしてしまいます。
もえちゃんは優しく受け止めます。そんな義兄を「私のこと、おねえちゃんと思っていいいですよ」とぎゅっと抱きしめ、そっとキスをしてほほを撫で優しく微笑むもえちゃん。この表情が本当に優しい。
欲情でもなく、愛情というのでもなく、相手をただただ癒してあげる気持ちの笑顔と抱擁とキスにとても引き込まれます。
おもわず「ゆあ」と姉の名を呼んでしまう義兄を受け入れているもえちゃんがとても愛しいです。
慈愛のエロス
2番目のパートの導入はもっと優しさがあふれてきます。
義兄に「おねえちゃんにしてたこと、全部していいよ」というもえちゃん。もうこの時点で、義兄を見る目が暖かい。ほんとに?と問う義兄をじっとみる。
「軽蔑されたりされないかな」と躊躇する彼をじっと見ながら「どんなことしてたの?」と優しくいって思わず笑いだすもえちゃん。この笑顔がとてもナチュラルな笑いで癒されます。この作品中で一番好きな表情です。
「(軽蔑)しません。信じて」というもえちゃんに「もえさんのよだれがほしいな」と告白する義兄。
それを聞いたもえちゃんの答えは「エッチだね」というささやき。見つめながら「おねえちゃんとそんなエッチなことしてたの」と重ねます。顔をなでながらゆっくりと唾液を男の口に垂らしていくもえちゃん。
その表情も色気というより慈愛。「すごくおいしい」と思わず吐露する義兄の頭を抱えて撫でる姿も柔らかく優しい。
もっと欲しいとお願いする義兄にもう一度唾液をたらすもえちゃん。しかし今度は先ほどとは違ってちょっと淫らなニュアンス。
垂らした後に絡める舌使いもいやらしくなっている。このあたりのギアチェンジはさすがの一言です。
静かな悲しみとセックスをする理由
愛する妻/姉を失った悲しみを共有する2人ですが、その感情を重苦しい悲嘆で描くのではなく、どうしようもなく穴があいたような喪失感で描きます。
おそらく突然の死や非業の死ではなく、あらかじめ予期伸ばされていた結末なのかもしれません。その決して感情を高ぶらせることのない悲しみのようなものが全体を覆っています。
もえちゃんの姿ともえちゃんの作ってくれた味噌汁に妻を見る義兄。
小さなころからあこがれと思慕の対象だったことを改めて感じるもえちゃん。
自分が「ゆあ」の代わりになれば、この人の傷をいやせるかもしれないと思ったもえちゃん。「ゆあ」をかんじられるもえちゃんを抱けば傷をいやせるかもしれないと思った義兄。
そこには確かに性欲はあるのですが、性欲のようでいて性欲ではないなにかがふたりにはあるのだと思います。そしてそれが今回のセックスをする理由ではないかと思います。
欲情が理由でないからこそ
妻と死別した男がすぐにその妹と関係を持つというのは、世間的には受け入れるのが難しいものではあるでしょうが、死別して婚姻関係が切れた男と、姉妹とはいえ独身の女性が関係を持つのが「背徳」とまでいえるかどうかは議論の分かれるとことではないでしょうか。合意であればなおさら。
何を主張したいかというと、今回はセックスをする理由に「背徳」のイメージを使う気がないということです。そして、ふたりのセックスは欲情に燃え上がったうえでのないように見えます。
傷を癒すためのセックスの効果なのか、男は淡々と仕事を再開し日常に戻っていこうとします。そしてもえちゃんもお姉ちゃんの代わりにはなれないと変えることを決めますが、男はそれを引き留めようとはしません。
このあとふたりは最後だね、と交わります。しかしそこにはこれまでの慈しむような笑顔はありませんでした。
激しさと空虚さ
最後のセックスは作中で描かれる中では最も激しく絡み合いとてもエロティックなのですが、気持ちはどこかにさまよっているような印象を受けました。
男はおねえちゃんの代わりではなく「もえ」とよんで、好きだよとささやきます。もえちゃんも好きといいます。
しかしふたりはすでにおねえちゃんの代わりとしてのセックスを経験してしまいました。そしてそこに癒しも感じたのでしょう。そうなると、もはやお姉ちゃんの存在抜きでお互いをお互いとして交わることは不可能なのかもしれないなと感じたのです。
性欲の発露として交わって入ればまだ続けることは可能だったのかもしれません。しかし、前述したように、性欲のようで性欲でないなにかがこの作品の「セックスをする理由」であるならば、その何かが失われてしまったとき、淡々と男は仕事に出かけ、女は淡々と最後を告げることなるのでしょう。
最後まで淡々と
最後のセックスはこれで終わりで思い出に残すようなテンションではなく、なにかが失われてしまっていることを確認するような行為にも見えました。
最後の食卓、3人分の食事とグラスが用意されました。そこには姉=もえちゃんの象徴としての味噌汁はありません。それはふたりが「ゆあ」を「もえ」の中ではなく、きちんと亡くなった人として外側に位置付けた表れなのかもしれません。
合間合間に差し込まれた義兄ともえちゃんの素振り。いくらバットを振る向こうに相手を想像したところで存在はしません。何も進まないのです。ふたりは黙々と素振りをしながらそんなことを考えたのかもしれないのかなと妄想しました。
さて、ふたりの関係についていろいろな妄想をし終えたところで、絡みのおすすめを上げておきましょう。
1回目の絡みのおすすめ
29分50秒過ぎ。もえちゃんが義兄の首に手を回してキスをしながらの正常位からそのまま抱き起して対面座位。キスしたままで起き上がって興奮した義兄が激しく突き上げるのがたまらないです。
そのあとのグリグリと押し付けるように腰を動かしてまたキスを続けるのも良いです。
そして対面の状態からもえちゃんが後ろに手をついて背面に体を倒した状態になり、そのままピストン。きれいな体がはっきりと見えるこの態勢は好きです。
そこから流れるように騎乗位に。この流れの後半からは興奮もありますが、きれいに構築された動きに惚れ惚れしてしまいました。
2回目の絡みのおすすめ
2回目の最大のおすすめは前述した導入のシーンですが、そこから先の絡みのおすすめポイントを紹介します。
ひとつめは1時間1分過ぎから。正常位の状態で開いた脚を高く上げて挿入されるところです。深く突かれる姿も良いですし「奥好き」とうめくようにいうのが印象的です。画面手前に映る足先が震えるのもグッときますね。
ふたつめは1時間2分過ぎからの対面座位。黒い服を着たままなのがツボです。
この作品、なんどもキスをするのがとても好みですが、そのなかでもキスが長いシーンのひとつ。唾液を改めて流し込みながらのキスも粘着力があって最高です。
みっつめは1時間15分過ぎのバック。
男の体とベッドの間でもえちゃんのお尻を押しつぶすように圧迫して突いていくのが良い。マウントポジション系のバックはグッときます。
舌を出して感じているもえちゃんの表情もそそります。
3回目の絡みのおすすめ
ひとつめは1時間31分からの唾液交換。
最後ということで義兄が好きだった唾液を飲むプレイをしてあげるのは予想していましたが、そこから口を開けて舌を出して義兄の唾液を待つ態勢にはいったのはちょっとした驚きでしたし、とても刺激的でした。これをもえちゃんで見られるとは思わなかったのでかなり刺さります。
一方で確かにこのプレイをする必然性がきちんと線を引かれているので、このあたりは最近の作品におけるもえちゃんらしい説得力がありました。
ふたつめは1時間42分ごろから。四つん這いの義兄の後ろに回って背中から舐めていき、お尻へ、アナル舐めからの手コキ。玉舐めにいってからのまたアナル舐め。最後はペニスにむしゃぶりつく感じがエロいです。
みっつめは1時間51分すぎ。お互い膝立ちの背面立位。もえちゃんが義兄の頭に手をやって脇が全開になるのが素晴らしいポージングです。
ここからバックで突かれるもえちゃん。お尻を突き出して弓なりになった体がとてもきれいです。
ここからもえちゃんの方の持ってぐっと後ろに引き、より脇があらわにより体のラインが弓なりになるように持って行った男優さん。あなたはとても素晴らしいです。
4つ目は1時間57分30秒過ぎ。杭打ち騎乗位でキス。義兄の求めに応じて唾液を垂らすもえちゃんの表情が快感で呆けていてとてもいい。駄栄を垂らすときに舌が出るのがとてもいいですね。
最後は2時間22分ごろの正常位。義兄の体に腕からめ、足でカニばさみの状態でしっかりとホールドするシーン。そのままキスしてピストンするのがたまりません。こういうより深くつながろうとる描写とプレイはやはり興奮しますね。
最後にひとつだけわがまま
ラストシーン、ひとり義兄の家から離れて歩くもえちゃん。途中でふと立ち止まり振り返ります。後ろ髪を引かれるような、でも何かを決めたような静かな表情を浮かべてまた歩みを進めて幕を閉じます。
それはそれでとても素敵な表情だったのですが、個人的なわがままでいえばそのまま振り返らずに終わってほしかった。そのときの心情を思い浮かべながら歩くもえちゃんの背中だけで感じ取ってもいいシーンでした。きっともえちゃんならその表現ができるはずという確信もあります。あくまで個人的わがままです。
それにしてもいい表情をします
いつのころからか、もともと素質のあった母性の要素が天使もえのキャラクターの大きな柱のひとつになったと思っていますが、この作品でさらにその要素がさらに進化したと感じました。
年齢とキャリアを重ねての変化なのか、心境や考えの変化なのかはわかりませんが、相手の懐にすっと入って寄り添うリアルな息遣いとどこか遠くから全体を見渡しているようなすっといなくなってしまうような儚さが同居する佇まいがとても魅力的です。
この包み込むように優しくて暖かくてでも少し儚げな表情のもえちゃんがいかされる作品がまた見たいと思います。
年下を導くような作品やおじさんをよしよしするような作品などストレートに活かすのも良いでしょうし、こんな表情を浮かべてるのにとってもサイコという逆説的キャラもありかもしれません。
脚本や男優さんが追いつくのならば演技シーンがもっと長めに欲しい、そんな雰囲気を纏っていました。
エスワン最後期から美少女からきれいなおねえさんへと変貌していったもえちゃんですが、そこから5年ほどの経験の中なかで培ったもえちゃん自身の成熟が静かにそしてきれいに滲み出てくるような作品だと感じました。
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