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儚い美しさと悲しい余韻
起伏のない淡々とした1日も不自由ない生活のなかでの漠然とした不満もその末の不倫も、どこかで行われている日常。そんな平坦な日常の中にもえちゃんの儚い美しさが光ります。そしてもえちゃんの美しさが際立つほど、破滅に導かれていく予感をじりじりと感じさせ、悲しい余韻が残ります。
◎アルバイトを反対されやめると言い出したもえちゃんを励ます男。もえちゃんが誘ってベッドへフェラ抜きからのセックス
◎バックヤードの飲料の棚の後ろでもえちゃんが誘ってフェラ抜き
◎待機場所の事務所でそのままセックス
◎トイレにもえちゃんが誘い込みセックス(途中まで)
◎男の部屋へ。夫の帰宅時間が迫る中、セックスという構成。
コンビニで働くもえは夫との関係が冷めきっていて会う度に喧嘩をしていた。最近は溜まった不満をパート先のコンビニで働く若者の佐藤に愚痴っていた。ある日、佐藤に女とは見られていないと思っていたもえだが告白されてしまう。夫への不満もあり勢いで佐藤と関係を持ってしまうがまっすぐに自分を思う佐藤との不倫沼にハマって行く…。
というのが公式サイトのあらすじ。一味ひねった構成や、ちょっとした伏線が引かれていることが多い最近のあまつか作品ですが、本作はほぼこの通りに進んでいきます。
ある種わかりやすく淡々と進んでいく展開を選択した意図は筆者にはわかりませんが、個人的には「変わることも終わることもない日常」を感じました。
その日常の中でもえちゃんに起こる事件が大学生・佐藤との不倫になるわけですが、それすらも日本のどこかでたぶんいまこの時点でも行われている「あるある」にすぎません。
本人たちにとっては人生を変えるような出来事でも、こうやって字面にしてしまえばよくある出来事に過ぎない。その中にどうしようもない人生の悲哀のようなものを感じます。
あるいはこういう見方はAVの見方としては誤っているともいえるでしょう。AVにおけるドラマパートや設定というのは絡みに向けた興奮度をあげるために存在するのであり、それ以外のあれこれを感じても得もしないし、そもそも作り手の意図とも異なるかもしれないからです。
しかし、今作に限って言えば、その淡々とした流れの中にもえちゃんを置くことでそのたたずまいや絡みの美しさが際立っているように思いました。もえちゃんが佐藤くんと仲睦まじくすればするほど、微笑みかけ、積極的にセックスに誘えば誘うほど、そのことの「どこにもいかなさ」を思うと胸が痛くなります。
もえちゃんを何かにつけ下に見る夫に反発を覚えますが、おそらく佐藤との不倫でなにかが変わるわけではありません。ラストで、バイト先にやってきた夫に佐藤と手をつなぐ姿を見せつけるもえちゃんですが、それで夫が改心するわけでもなくプライドの高い夫によって事態は破局に向かって進むことでしょう。
そして、もえちゃんが好きなことは確かでしょうが、それが生み出すであろう結果に責任をもてそうにもない佐藤君はどこかで逃げ出すだろうなという予感もあります。なぜなら、最初こそ自分から告白した佐藤君ですが、その後、行動の発端はすべてもえちゃんの誘いからだからです。その受け身の主体性のなさからは悲しい結末しか予想できないのです。
しかし、こうしたどこにもたどり着かない悲しさを不倫中のふたりというのは気が付かないものでしょう。周りに気づかれないようにすることで隔絶され、ふたりのなかで盛り上がっていけば見えるものも見えなくなっていく。その見えなくなっていき突っ走ってく感じを、もえちゃんが自分でこれまで気が付かなかった自らの性欲に気が付き、それに突き動かされている姿を重ね合わせているのがとても上手だと思いました。
不倫の関係に振り回される姿を描くのはドラマとしてはありですが、AVとしてはやや役割が異なると思いますし、タイトルにあるように欲求不満の性欲で男を求めるではAVとしては必要十分ですが、流れとしてはラフすぎると思います。
設計されたものなのかたまたまなのかは不明ですが、この流れの中の交差と重ね合わせがあったことでシンプルな筋立てに深みを感じることができました。
最初の絡みの美しさとドキドキ感と初々しさと
何といっても本作でみてほしいところは最初のチャプターの初めて体を重ねるパート。
キャリアを重ねても初々しさを失わないのがもえちゃんの魅力と何度も語ってきましたが、それを確かに体現したこのチャプターはこちらもドキドキしました。
好きなところがたくさんあったので順番に挙げていきます。
好きなところ①
最初のキスの恥ずかしがり方がもうたまらないです。「久しぶりだから痛がったりするかもと」いいながら表情が期待感であふれるのがいいです。そして「もえって呼んで」というもえちゃん。非日常に舞い上がっている雰囲気が出ていていい。長いキスの後「息できなくなっちゃう」と恥ずかしそうに笑うところもかわいいです。
好きなところ②
そしてもっとかわいいのが、胸を揉み始める佐藤くんに少しはにかみながら「優しくしてね」といってちょっと笑いだすところ。可愛くて悶絶しそうでした。
その後も佐藤くんの愛撫にしきりに恥ずかしがるところがとてもかわいらしい。
語弊を恐れずに言いますが、キャリアを重ねた女優さんでこの初々しい演技ができる、そして似合う女優さんはそうそういません。いや、デビューしたての女優さんでさえこの初々しさを出せる人は少ないでしょう。もちろんもえちゃんは一線級のキャリアの持ち主ですから演技の範疇ではあるわけです。しかし、いくつもある引き出しの中に、まっさらに恥ずかしがる感性を持ち続ける。そしてとても魅力的に表現できる。これがもえちゃんの素晴らしさだと思います。
好きなところ③
さんざん攻められて感じまくるもえちゃん。今度は逆襲モードに入ります。この時も恥ずかしがりながら佐藤くんのズボンに手をかけます。ぎゅっと口を結ぶもえちゃんがたまらなくかわいい。そしていきなりペニスに行かず四つん這いになりながら優しくゆっくりとキスをする姿がとてもきれいです。
そしてその後のフェラもとても優しくて慈しむよう。亀頭の部分をそっと包み込むようなタッチがたまりません。「わたしでこんな風になってくれたの」「うれしい」という。
好きなところ④
たまらず出してしまう佐藤くん。手のザーメンのやりどころにこまるもえちゃん。ちょっと見回すと「えいっ」とシーツで拭いてしまいます。この時の笑いが素のようでとてもいいです。本当に困ってやったみたいです。
好きなところ⑤
うれしいと満面の笑みを浮かべるもえちゃん。
まだできるという問いにうなずく佐藤くん。もえちゃんがグッと興奮した表情になります。「ほんとにいいの」というもえちゃんに「したいです」と佐藤くん。ふっと笑みを浮かべて迎え入れる。この表情がたまらない。挿入シーンは大事だとは思いますが、できればここは表情メインの画角で見たかったところですが、とてもいいシーンです。
好きなところ⑥
このあとふたりはつながるのですが、しばらくは体を密着させて腰だけを動かすのがとてもいいです。キスしながらの密着させて感じるもえちゃんがとてもかわいらしいです。
好きなところ⑦
しばらくたって恥ずかしいことお願いしていい?と尋ねるもえちゃん。
うしろから思い切りついてほしいとお願いします。
そう、この世界のもえちゃんはバックが恥ずかしい性格なのです。前述したように、これもAV世界の中で説得力を持たせられる女優さんはそうそういないと思います。
この前提で続くバックを見るとよりグッとくるわけです。
その要求がかなえられた後は堰をきったように激しく絡み合うふたり。段々自分の中の性欲に目覚めていっているのがわかります。
佐藤くんがフィニッシュしてもさらに馬乗りになって求めるもえちゃん。火が付いたようでした。
前振りのいちゃいちゃ感のキュートさ
このあとのパートも文句なしの安定感なので、詳しくは本編を見ていただきたいと思うのですが、言及しておきたいのがそれぞれのパートの絡みの前のいちゃいちゃ感のキュートさです。
店内で佐藤くんを見つめるもえちゃんにニコニコなところ。そしてバックヤードに追いかけてキスするときの優しく見つめる感じ。佐藤くん見てたらしたくなっちゃったんだもんというストレートさ。
休憩の事務所ですぐ横に座ってまた見つめあい、アメを口移しでよこすように要求しそのまままったりとキスするところ。
検品をしている佐藤くんをニコニコしながらトイレに連れ込むところ。
佐藤くんの家にやってきて、佐藤くんがあまり時間ないねと気にすると「だからしよ?」と妖艶に誘うところ。
すべて、抑えたエロスがあって素晴らしいです。
ふたりの関係性
しかし、前述したようにすべてもえちゃんからの仕掛け。大人の誘惑といえばその通りなのですが、佐藤くんは一貫して受け身です。もちろん佐藤くんがもえちゃんのことを好きなのは間違いありませんが、見ようによってはもえちゃんが一方的にテンションが上がって舞い上がっているとも見えるわけです。この微妙な関係性を感じ取ると、やはり一抹の切なさを感じないわけにはいきません。
これらは直接作品で語られているわけではありません。しかし、もえちゃんがこの作品で放つ明るいけれどどこか憂いと儚さを秘めた雰囲気がそう感じさせるのです。それをもっとクローズアップしてしまえば、それはもえちゃんのエロスではなく心理を描くドラマになってしまい、AVの本旨とは外れてしまいます。しかし、それをもっと見たいと感じさせるもえちゃんのふわっと消えてしまいそうな笑顔でした。
今回も少しだけ気になった点を
モノローグは時間が限られる中でやりやすい手法ではありますが、やはりクラシカルな手法に思えます。シーンの展開や会話の流れで情報を解消してほしいと思いました。夫との会話のシーンの手触りや、さんざん語ってきたもえちゃんの直接は語られない切なさの部分はシーンとしてとても素晴らしいと思ったので個人的にはもう少し、と欲が出ました。また冒頭のテンポも、待たされている感じがしたのでこちらも段取りを減らして整理できると見やすいと思いました。
この作品の真栄田一門監督が以前にもえちゃんで撮った「彼女の不在中に”彼女の友達”に密着ねっとり乳首責めで射精漬けにされた週末」の冒頭のドラマシーンはとても素晴らしく、よい冒頭の例を求められたら上げたい作品なので、また次回を期待したいと思います。
もえちゃんにしかできないチャレンジを期待しています
それはさておきプレイの過激さやハードさを志向せず、設定構成ドラマパートのトータルの完成度と天使もえという個の魅力で引っ張っていく姿勢を突き詰めていくと「ドラマもの」からもう一歩すすんで「セックスシーンがあるドラマ」という境地に達していくのかもしれません。そして今作のようにその片鱗がほの見えるような機会もふえてきた気がします。もちろん個人的な妄想にしかすぎませんが。これはもえちゃんの進化だけでは不可能で、企画制作プロモーション含めたトータルの戦略や力が必要になると思います。数あるチャレンジのひとつとしてどうなるのか「その先」に興味を持っています。
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