主人公は男優さんなのかも、という逆転の発想
もえちゃんが乳首の弱い男を誘惑して攻めていく物語、ではなく正真正銘「乳首の弱い男が快楽落ちしていく物語」として構成。導入部で「まことくん」にしっかり感情移入して、クールで妖艶な小悪魔もえちゃんに甘々に調教される姿を自分と重ね合わせると最高の幸せがまっています。
学生時代からの友人、もえちゃん、まことくん、りこ。就職後も学生のときから付き合っているまことくんとりこのもとにもえちゃんが週末やってきて仲良くしている。
いつものようにもえちゃんがやってきてまことくんとふたりでりこの帰りを待つが実家の猫の具合が悪いのできょうは帰らないというのでふたりですごすことになり・・・というストーリー。
登場人物の関係性を描写する導入部→彼女が不在の好きに乳首攻めの始まりからのセックス→翌日も起き抜けからの乳首攻め→一時中断して料理と食事→さらに乳首攻め→風呂場で乳首攻めとセックス→最終日の夜にセックス→さらに最後に乳首責められながらオナニーでフィニッシュ→ラストシーンというおおまかな構成です。
全編を通じてとても柔らかな描写でふんわりかつ妖艶なもえちゃんを楽しむことができます。
この作品は導入部に尽きるかもしれません
とにかく自然な導入。関係性を見せる描写がすばらしいです。
18分強を導入部に費やすこの作品。しかし、それをまったく長いと思わせない魅力的な演技を見せてくれています。むしろ、この導入部をしっかり味合わないとこの作品の魅力は大幅に減じてしまうと思いいます。
かなり長くなりますが、今回は導入部を細かく見ていくことによってこの作品の魅力を見ていきたいと思います。
シーン1
キッチンに立つもえちゃん。手前に男女2人。食事の用意をしている。
「じゃあなにしよっかなあ」と女が腕まくりしながらあたりを見回す。「りこはなにもしなくていいよ」隣の男が笑う。
笑いながらキッチンから戻ってくるもえちゃん。りこはもえちゃんのほうを見ながら「なんか手伝おっかあ」と声をかける。もえちゃんと男は「いい」。
「なんかやらすと危ないから」ともえちゃん。「りこはあぶないからまじで」と男。「ありがとうありがとう」と優しく声をかけるもえちゃん。
「でもなんか手伝いたいなあ」ちょっと不服そうなりこ。「だいじょうぶだよ」「いい。いい」「ほんと俺らりこに期待しないから」もえちゃんと男が笑う。
「まことくんがやってるの見てて」「え、ずっとみてればいいの?」笑う3人。
手際よく準備を進めるまことくんに「ありがとう。さすがです」と声をかけながらもえちゃんがキッチンに戻る。
まことくんが「もえちゃんもうタネできた?」と聞くとキッチンからたこ焼きのタネ。
「結構まことくん慣れてるの?」ともえちゃん。「まあまあ。こんな感じじゃない?ってやつ」。もえちゃんはまことくんの隣に座る。「えー。じゃあお願いしちゃおっかな」。
「ごめんね失敗したら」。りこがまことくんにおたまを渡す。
「ごめんねもえちゃん。めっちゃ手伝ってもらって」「ううん」
「でもまことくん普段料理してるんでしょ」「そうなんだよ。まことうまいから料理」
タコ焼き器にタネを流し込むまことくんに「すごーい」と手をたたいて声をあげるもえちゃん。「おなかすいてきた」とりこ。「早いよ。いまから焼くところだよ」とまことくん。
「いいなあ。こうやって焼いてくれる彼氏さん」「えー。もえ早く彼氏つくりなよ」「え。もえちゃん。あそっか。もえちゃん確かに彼氏いるイメージないもんね」「こんなにかわいいのにね。なんで彼氏作んないかなあ」「作んないわけじゃないんだよ」「大学の時も人気普通にあったじゃん」「ねえモテてたよね」「なんでつきあわないの?」「ちょっと長続きしないかな?みたいな」「あれ?」「え?なんで別にもえちゃん性格もいいしさ。そんな感じなくない?」
「じゃあたこいくよ」「ネギもいれるのもしかして」「ネギ嫌いだっけ?」「いや」
「なんか含みある言い方してるじゃん」
「へえすごーい」ともえちゃん。「別にすごくないでしょ。もえちゃんだってできるでしょ」「人に作ってもらうのがおいしいなって思う」「もえも料理できるもんね」「いちおうね。やってるけど」「私より上手だし」「私よりっていうより、りこの場合まったくできないじゃん」「手伝おうっていう気持ちはあるよ」「きもちだけ?」「手伝ってほしくないっていう気持ちしかないよ」
まことくんが飲んでた缶ビールからグラスに注ぐもえちゃん。「ありがとう。直飲みしてた」「ううん」
自分のビールを飲むもえちゃん。飲みながらまことくんのほうをちらっと見る。まことくんは気が付かない。もういちど見るもえちゃん。やはり気が付かない。
この導入部分。とても自然で、設定を説明してます、ということを感じさせない努力がとても見える良いシーンです。食事の用意をしている最中に割り込むように始まるのは、話が始まりますよ、っという段取り感を少なくしています。
シーン1・自然に見せる関係性
そして、たこ焼きを作る準備をめぐる会話で、それぞれのキャラクターを説明しているのも良いです。何も説明的なセリフがなくても、3人が昔からの知り合いであること、まことくんとりこが付き合っていて、りこともえちゃんが友達で、家に呼ばれていることがすっとはいってきます。そして、ちょっと不器用だけど愛されるキャラ(これもすぐ受け入れられる)のりことの会話を介して、もえちゃんのまことくんのキャラや状況がわかるようになっているのもとても自然。ある意味、これからの展開では「部外者」になるであろうりこを軸に据えて展開しているのがドラマシーンを設定を説明するために付けました、という雰囲気がないのがいいです。
そして、そうした自然な雰囲気を支えているのは役者さんだと思います。もえちゃん、まことくん、りこの3人が、きちんと同年代の仲間に見えますし、まったり家でたこ焼きパーティーをやる人たちに見えます。男優さんも料理上手の優しい彼氏さん、女優さんも、おおらかで愛嬌がある女性という設定にぴったりの雰囲気。何よりももえちゃん含めて3人の会話にお芝居感が少ないのに感心しました。セリフ自体の説明感がない、変にオーバーリアクションや大げさなセリフがないというのもさることながら、3人の会話のテンポ感が心地よい。もえちゃんが彼氏を作るかどうか話になりかかって、その後その話がなかったようにいったんたこ焼きの話に切り替わっていくところなどは特に、普通の会話を脇で聞いているような気になりました。当日集まってよーいどんでこの雰囲気であるとするならば、3人の力量はすごいと思います。
こうした自然な流れの中に、もえちゃんが少しずつまことくんに接近していく兆しを差し込んでいます。何でもないことですごーいというのは定番ですが、キッチンから戻ってくるときにしれっとまことくんの隣にまず座るのもそうですね。そして料理の苦手なりこに手伝わせず、実質まことくんと2人で準備を進めいわば二人の世界を作ってしまうということがそもそものスタートかもしれません。
もともとその気でそういうシチュエーションに持ち込んだのか、そういうシチュエーションに結果的になってその気になり始めたのかは語られませんが、和やかな会話の中に序盤からもえちゃんの意図が見え隠れし始めます。
シーン2
りこを介してもえちゃんとまことくんのスタンスが明らかになっていくというのがさらに効果的に使われるのが次のシーンです。
もう一度、もえちゃんに彼氏を作りなよと勧める話題に戻ってきた3人。紹介しようか、というりこに「すごいよね。男の子も女の子も友達多いし」といいます。
まことくんも「ほんと多いよね。性別問わずって感じで。昔からそうじゃない?」「そうかも」
「サバサバしてるから誰とでも仲良くなるじゃん」「それかもね」
そしてまことくん。「正直、もえちゃんは近寄っちゃいけないっていう雰囲気あるもん。男子は」「なんか、うかつに手を出しちゃダメみたいな存在感」りこが手を高く上げて高嶺の花?っという感じでまことくんに見せると「りこはここじゃん」とそれよりかなり低いところを指します。「なになに。ひどい」「もえちゃんここじゃん」「なにもえがここで私がここ?」「なんか高嶺の花と雑草みたいなのあるじゃん」「うわっどう思うこれ」「一応彼女だよね?」「ねえ」「好きだけどさ、そいうのとは別の話じゃん」「別?」「失礼だなあもう」
「でも毎日こんなんだよ」「まあそうだね」「いつもこんなこといいあってる」「ね。毎日ね。楽しい」
シーン2・見え隠れしはじめる本音
いつもこんな感じでふざけあっている、といっていますが、こういう時に話す女の子への評価は本音です。おそらく、まことくんは優しいけど受け身タイプ。学生時代にもえちゃんをいいなあと思いながらビビッてあまり声もかけられず。誰にでも親しみやすいりこにプッシュされてまあそれでもいいかと付き合ったクチでしょう。完全に妄想ですが。
もえちゃんからすれば、いま押せばいけるなこいつ、という評価が定まった瞬間でもあるでしょう。
シーン3
先に風呂に入ると部屋を出るりこ。もえちゃんはまことくんとの距離を近づけます。
「やさしいなあ。まことくん」「普通でしょ」「いつもそうやってるの?りこにも」「いやまあ。普通だよ」笑いあう2人。「りこの面倒見てくれてるの?」「面倒見るっていうか。まあそうだね。りこあぶなっかしいじゃん。まあいい意味で守ってあげようみたいなのあるよね」
「いいなあ。私も守ってほしいなあ」「ほんとすぐ見つかるでしょ」「なんだっけどれくらいだっけふたりが付き合い始めてから」「3年くらいたったかな」「大学のころからだもんね」「なんか大学の頃から比べたら、まことくん男らしくなった?」「お!」
「えーどこだろう?」「いや。わかる?」「うん」「なんかがっしりした感じがする」
「ちょっとさ、会社の人に誘われてさ、最近ジムいくようになってさ」「あ、そうなんだ!」
「仕事終わりとかにみんなでいくんよ」「へえー。え、どの辺鍛えてるの?」「えでも結構いろいろやってるよ」「私もジムいくからさ」「え、そうなの?」「そうそう」
「胸とかもついたし、腕とかも」「あ、確かに。すご。結構がっちりしてるね」「でしょ。でも、りこ気づいてないんだよね」「うそお?」「全然言ってくんないの。えー。こんなにがっしりしたのに」「胸とかもけっこうある。おっぱい」「ほんとだー」まことくんの腕を触りながら話すもえちゃん。話題が胸筋に移ると胸をあたりを触ります。そして表情を変えずに乳首のあたりをなでます。
「いやちょまっ」言葉にならない声を漏らすまことくん。「えーなに?」と怪訝そうな表情をするもえちゃん。
「何そのリアクション?」「くすぐったかったの」「へー」
「はずかしいじゃん。だってくすぐったいじゃん」と言い訳のようにまことくん。
「そうなの?」と小さく呟くもえちゃん。笑みを浮かべながらまことくんを見つめる。
「そうよ。そういうもん」目をそらしビールを飲むまことくん。
「ふーん。敏感なんだね」ふふっともえちゃんが笑う。
「くすぐったくない?」「うーん?」ビールを飲iみながら首をかしげるもえちゃん。
「いっぱい食べたね。おなかでそう」別の話を始めるまことくんを笑みを浮かべながら見つめるもえちゃん。
シーン3・「ひと押し」のタッチ
ふたりきりになる。距離を詰める。ほめる。彼女をうらやましがる。褒めてほしそうなところをほめる。ボディタッチをする。
ここまではロックオンした男を落としにかかる王道ですね。カメラワークとして思わせぶりだったり説明的だったりするカットがなく淡々と描写しているのがすっと状況が入ってきます。
しかしここでもえちゃんは乳首を触るという「ひと押し」をします。「何そのリアクション?」と問いかけてるところからして偶然とも受け取れますが、仲が良いとはいえ、友達の彼氏の乳首を意図的にさわるでしょうか?このあたりは含みをもたせた展開だと思います。
いずれにせよ、まことくんの反応を見た後のもえちゃんの表情を見ると、どうやら攻略方法も見つかったようです。
世界観をしみこませる
かなり長めの導入部。「本題」を楽しみにしている人にとっては少しもどかしいかもしれません。友達の彼氏を距離を詰めていく、ということであればシーン3からでも十分という考え方もできます。
しかし、「本題」からは少し距離の離れた「関係性」だけをできるだけナチュラルに描写するシーンを積み重ねることで、少しづつ男女が距離を詰めていくドキドキ感を楽しむことができますし、見る人に作品の世界観をしみこませより感情移入度を高めることに成功しています。
とはいえ、これだの時間をドラマシーンに割ける判断ができたのは、3人のかけあいの完成度が高かったからでしょう。繰り返しますが、これを見越してキャスティングしたのであれば、その選球眼が素晴らしいと思いますし、意図せず集まってから発生した化学反応であれば、3人の演者さんの素晴らしさと演技の面白さを感じます。
ここをしっかり楽しめると、後の展開の見え方が全く変わってくるよい導入でした。
さらに
そして別の日の夜。いつものように集まっている描写から始まります。
ここの始まりも「もえちゃんさ、りこ帰ってきたら買い物行っていい」「ああ。どうしたの?」という会話の流れの途中に割って入るようなスタート。動きながらのセリフなのでとても日常感があります。
乾杯してビールを飲み、「しあわせー」ともえちゃん。まことくんは「酒飲める相手がいるっていいよね」となんとなく合わせます。
すかさずもえちゃんは「りこあんまりのめないからね」「すぐふにゃふにゃ?になっちゃうからね」
「飲みながらしゃべったりしたい時もあるじゃん。そういうとき飲めない人だとちょっと、ということはあるから」とのっかるまことくん。
「わたしはまことくんと飲むの楽しいから好き」と返す天使さん。
「俺らもだいぶ付き合い長いよね。気の知れた仲感があるよね」
そんな時に電話。りこが実家の猫が具合悪くて心配なので実家に帰ると連絡してきます。
まことくんの後にりこと話すもえちゃん。この時すでにまことくんとの距離を詰めます。
「じゃあふたりで飲みますか」とすかさず提案するもえちゃん。「そうっすねえ」とそっけなさそうに応じるまことくん。飲み続けていると終電がない時間になっていることに気が付くふたり。
「えー。泊ってってもいい」「いや。まあ。いい…のかな?」「りこにはちゃんといっとくから」「ああ。まあそうか。だい…じょうぶ…かな?」
「なに?なんかあるとおもってるの」とにやにやしながら聴くもえちゃん。さりげなく腕をまことくんの脚にくっつけます。
「もえちゃんだしね。いやりこに怒られないかな」とまことくん。
「あー。なんかあると思ってるの?」と重ねて聞くもえちゃん。「なんもないって。思ってないって」「じゃあいいじゃん」
「じゃあまだ飲めますね」と躊躇するのをやめたまことくん。
そこでもえちゃんはお尻痛くなっちゃった、とまことくんが座っているソファーの隣に移動。
間髪入れずに「それにしてもさあ、いつから鍛えてるの」と畳みかけます。
筋肉をほめるもえちゃん。「めっちゃ男らしい」というとまことくんは「まじで?」と単純に喜びます。「ちょっと触っていい?」「別にいいけど」触り始めます。
そして筋肉のことを話しながら乳首を触り始めます。
びくっと反応するまことくん。「なにー?」「なにもないけど。くすぐったいと思って」「なに。脇?ここくすぐったいの?男の子が?」もえちゃんは乳首をさらに触っていきます。「やばいやばい」「まって。ここ?」もうにやにやがもえちゃんはとまりません。
「ふつうさわらないじゃん」と抵抗するまことくんに「りこは触ってくれないの?」と突っ込むもえちゃん。だめだめという押し問答をしているうちに体を密着させていきます。
そして「たのしくなってきちゃった」とまことくんにまたがります。「酔い過ぎだよ」といさめようとするまことくんに「さわりたいー」とお願い。「甘えたらだめ。どうしたのきょう飲み過ぎだよ」「なんか甘えたい気分なんだもん」「甘えたい気分の甘え方がちょっとまずい」
このあとTシャツをめくられ乳首を触られいじられ舐められるまことくん。最初は抵抗していましたが、しだいに快感に飲まれていきます。いつもであれば、ここからおすすめシーンを紹介するところですが、この空気感を味わうことが大事ということを覚えておいていただいたうえで、具体的なシーンは本編を見て体感してほしいと思います。
みどころ① まことくんの堕ちっぷり
本作では、もえちゃんの立場はまことくんの弱点である乳首を徹底的に攻め、言葉や視線で攻めてM性を引き出していく、という一点で変わりません。変化していくのは攻められるまことくんのほうです。最初はくすぐったいといっていたのが、もえちゃんの導きで気持ちいいと口するようになり、自分から乳首を触ってほしい、もっと強くしてほしいとおねだりするようになります。乳首を攻めてほしいためにもえちゃんを引き留め、最後はもえちゃんに乳首を攻められながら、ペニスをしごくように言われ、「いっぱい乳首舐め舐めされたいね」「いっぱい乳首舐め舐めされたい」「かわいい。ほらもっとしごいて」「乳首でイク変態になるんだよ」「まことくんは女の子に乳首いじられて自分でおチンポしごいていっちゃうド変態なM男になるんだよ?わかった?」といわれ「わかった」といっていってしまいます。
スタート地点では、彼女の親友で、自分の昔からの仲良しだから、という体で男女関係なく遊ぶスタンスだよね、という雰囲気だったのが、一気にもえちゃんに攻め落とされるまことくん。もちろん堕としていくもえちゃんの妖艶さとかわいらしさは抜群なのですが、もしまことくんにうまく感情移入出来て、まことくんになったつもりでこの作品を見ることができたら、それがいちばんよい見方だと思います。そして、男優さんは感情移入出来るだけのとても自然んで良い演技をしています。たぶんこの男優さんでなければストーリーも展開も変えなければいけなかっただろうな、というくらいハマっているので、それほど難しくはないと考えています。
ただ、どうしても男優さんの存在感がある作品はいやだという方には向かないかもしれません。それだけ男優さんの存在感はありますし、反応も大きいです。なぜならそこがこの作品のキーだからです。男優さんと女優さんの存在感の関係性はどちらかというと一般のドラマや作品のように対等に近い作りになっています。そこが好きかどうかが評価の分岐点になると思いました。筆者は今回の配役であればこの作り方は大正解だと思います。
見どころ② 小悪魔な痴女?かわいいS?
対する天使さんは鉄板キャラのひとつになったといえる「理詰めでクールに男をからめとっていく痴女」が光っています。
まことくんの性格を踏まえて、半ば強引にアプローチして推し切りつつ、乳首に弱いというか快楽に弱いところを突いて欲望を高め、「どうしたい?」「かえったほうがいい?」と問いかけてまことくんに選択させて堕としていくところがとても良いです。
セリフ回しは今回もキレキレ。時に甘え、時に攻めながらまことくんをいいなりにしていく様子を見るだけでゾクゾクします。なにより笑みをたたえながら優しくかわいらしく、そしてゆっくりと攻め立てていくのがたまりません。
乳首攻め、言葉攻め、といっても激しかったり荒っぽかったりすることはもちろんなし。髄所に「かわいいね」という言葉を織り交ぜながら、やさしく子供をあやすように優しく優しくまことくんをいじめていきます。ゆっくりまったりとしたキスが多めなのも興奮度が高いです。
最後までミステリアスさを残したのが印象的
さらっと一見すれば、親友の彼氏と浮気のセックスをした、といことなのですが、明確なねらいは明示されないまま終わります。定番の彼女がいるのに?という攻めや彼女の電話中にとうシーンはありますが「彼女より私がいいでしょ」という私のモノになって、というモードは省かれています。昔から実は好きだったの、とか最近やっぱり好きになった、という描写もうかがえません。
一方で、彼女の部屋着を着て「これから思い出しちゃうのかな」と言ったり、ご飯の上にサラダを目玉焼きを載せる食べ方を勧めて同じことをしてもらおうとしたり、彼女から電話がかかってきて席を外している間に微妙な表情をしたり、というりこを意識したり、まことくんのなかに自分の痕跡をのこそうという意図も感じます。
かといって、自分の性欲発散のために手近にいるまことくんを、といいうことでもなく、まことくんをかわいくおもいながら、愛情をこめるように攻めていきます。
こうして着地点がいまひとつ見えない中でのラストシーン。
りこがようやく帰ってきますが、まことくんは落ち着かない様子です。そしてりこが風呂に入りに行くと、まことくんはもえちゃんに電話します。自分の胸に手をやりながら。
「もしもし?どうしたの?」「もしもし。いや。別に特に用事があるわけじゃなんだけど」「ん?」息があらくなるまことくん。「まことくんが今何してるかあててあげようか」ふふっと笑いながらもえちゃん。「え?」。再びふふっと笑うもえちゃん。
ここで作品は終わります。
膨らむ妄想
もえちゃんは電話がかかってきた時点で、まことくんが何を思って連絡をしてきたのがわかっていたのでしょう。このあともえちゃんはまことくんにどういう対応をするのでしょうか?
また乳首責めてあげる、ならNTR的な展開でしょう。いちばん自然な流れだと思います。
しかし筆者は違う妄想してしまいました。まことくんの少し興奮したような様子に対してもえちゃんの態度や声は極めて冷静。しかしまことくんが何を望んでいるのかはしっかり見透かしています。
もしもえちゃんが、長年仲睦まじいりことまことくんの関係に黒い傷跡のようなものをつけたかっただけだとしたら?さらに妄想を膨らませて、ただたんに弱点を突いてまことくんの堕ちた様子を見たかっただけだとしたら?
最後の電話のシーンはホラーやサスペンスの1シーンのように見えてこないでしょうか。
エロさだけで見るならすっかりもえちゃんの乳首攻めの虜になっちゃったボク、なのですが、乳首が弱いというだけで、幸せな恋人との生活を崩壊させられ、その崩壊の原因から逃れられなくなってしまう物語にも解釈できるのです。もちろん妄想ですが。
なぜこんな妄想を膨らますのかといえば、やはりそれはもえちゃんの演技力。かわいらしく甘え、優しく包み込み時にいじめ、妖艶に乱れる、そんな情感豊かな側面を見せる一方で、どこか醒めて突き放して見ているような一面が見え隠れする。もえちゃんが表現する作中の人物像がこうした想像を触発します。もえちゃんの演技力をいかしたのか、それともそういうストーリープランを上手に実行したのかはわかりませんが、絡みを引き立たせるための演技を超えたなにかを見せてくれたような気がします。
まとめ
とにかく、もえちゃん、まことくん、りこちゃんの演技が自然なのが感心します。
大半を占めるもえちゃんとまことくんのやりとりは普段の会話を切り取ったような雰囲気。その雰囲気のまま物語を上手に展開していくのが心地よいです。
詳しくは本編を見ていただきたいのですが、朝起きて乳首をいじって目覚めさせておはよう、というところから始まるパート。プレイが始まってここから、という途中でまことくんのおなかがなり、ふたりで笑って中断して、キッチンで料理するシーンにいってさりげなくりこちゃんの服を着て、りこちゃんを裏切っている罪悪感を刺激しつつ、それでも楽しくご飯を食べて、途中で電話がかかってきて、戻ってきたら、もえちゃんの食べ方でまことくんもご飯をマネして食べて、という一連の流れが本当に「流れるよう」。もちろんお芝居なんだけどお芝居してます!という空気を感じさせない。かといってドキュメンタリーのような素です!というラフな感じでもない。この「演技としてのナチュラル」としかいいようのない感じがすばらしい。それがいかにもナチュラルっぽいですっという鼻につく感じもしないのもふたりの演技力の賜物だと思います。
そしてりこちゃん。りこちゃんも脇役ということを感じさせず、そして嫌みのない存在感が素敵でした。出てくる分量こそもちろん少ないですが、筆者には3人が役として対等な関係性に置かれて演出がされていることにとても新鮮さを感じました。
自分の中でもまだうまくまとまっていないのですが、もっと見たくなるドラマもの、もっとドラマシーンを見たくなるAVというもののタネとなる要素が生まれているあるいは埋め込まれてるのではないかと感じました。それを突き詰めるために、そして何よりもこの3人の空気感を味わうために何度も見たくなる作品になりました。
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