美しさの前半とかわいさの後半
美しい女性が美しいまま乱れ、かわいい女性がかわいいまま感じる姿を見たい。そんな素朴でストレートな欲求をしっかりと満たしてくれる作品。新しいスタートを切ったもえちゃんの魅力を改めて感じさせてくれます。
絡みは3人の男優さんと連続で絡む前半と、1対1のハメ撮りで絡む後半の2パート。端的に表現すると、前半はもえちゃんの美しさを堪能するパート。後半はもえちゃんのかわいらしさを愛でるパートになっています。前後半で明確にテイストが分かれているのはとても良いアイデア。飽きさせません。
前半のみどころは「立ち姿」
キービジュアルにもなっているベージュの下着をつけた立ち姿。
前半の絡みでは、そのビジュアルの美しさを保ったままの絡みを楽しむことができます。1人目とのフェラを経て、2人目と絡む際の立ちバックが特に印象的です。白い肌に細い肩、背中からウエストのスレンダーで美しいライン、肉感的なお尻、美脚、それぞれを立ち姿全体を映すことでより魅力的にみせています。その美しい姿のまま、後ろからガンガン攻められるのがとにかく美しくエロティック。挿入時以外も立ち姿が効果的に多用され、明るくシャープな映像も相まってもえちゃんの身体の魅力を改めて感じることができます。
「こういうのが好きなんだ」もうひとつのテーマ
一方で、前半は「自分はどういうふうにすると気持ちが良いか」を絡みで表現するパートにもなっています。
導入部でもえちゃんは「どういう自分を見てほしいか」について問われて考えるとともに、「私らしいセックスを見せる」と語ります。そして台本なしでセックスをすることも語られます。
それが特に表現されるのが3人目との絡み。もえちゃんは、気持ちのいい部分、してほしいことを「ここ好き」「そこだめ」「〇〇入るところ好き」「グリグリ好き」と言葉にしていきます。男優さんもそれにきっちりとこたえていきます。そこで目にするのが、奥を突かれると特に高まる姿と、自ら奥に擦り付けるように腰を激しく動かすことで感じまくる姿。「もえちゃんはこういうのが好きなんだ」ということが示され、これが後半の絡みへつながっていきます。
ちょっと寄り道。脇がいいんです。
ところで3人目との絡みでは脇にも注目。手を上げさせられてのフェラ、背面に回った男優さんの首に後ろ手に絡みながらピストンされるシーンなどで脇が全開になる場面がときおりあるのですが、伸びた腕から脇、そこから腰のラインまでとにかくきれいでそそられます。おすすめ。
ベッドに行くまでのかわいらしさがたまらない後半
後半はお久しぶりの男優さんと落ち合って撮影というシチュエーション。ハメ撮りと聞き、「公私ともにしたことがない」と恥ずかしがる姿がとてもかわいい。前半とは違いリラックスした雰囲気なこともあり、もえちゃんの話し方も甘えるような感じなのもすごくいいです。アップでとられるのを困ったような顔で恥ずかしがりながら、男優さんの優しく丁寧な愛撫に少しずつ応じて感じていくのがとても初々しい表情でぐっときます。
しかし、かわいいだけでは終わりません。ベッドに移ってからのフェラからスイッチが切り替わります。前半パートでも序盤にフェラシーンがあるのですが、この時はいわば「抜きに行くフェラ」。このパートでは、より丁寧に慈しむように吸い上げ舐め上げていきます。男性を気持ちよくさせるフェラというよりも、私はこれからこれで気持ちよくなるんだという「期待感のフェラ」に見え、とても興奮します。ここから本気モードに入っていくのがわかるとてもいいシーンだと思いました。
最大のおすすめは1時間37分ごろからの没頭感
そして今回の最大のおすすめ個所はここからの絡み。みずから迎え入れますが、男優さんは腰をほぼ動かしません。もえちゃんが自ら小刻みに、しかし激しく腰を動かして高まりイキまくります。前半のパートで、大きな抜き差しよりも擦り付けるように動かすのが好きらしいこと、ピストン時は特定のところにいちばん気持ちいいお気に入りポイントがあるらしい、ということが示されているので、ここでは自ら夢中で快感をむさぼっているのだ、と解釈できてめちゃくちゃ興奮しました。このあたりの前半と後半のつながりは見事。このあとも、ときおりおなかをさすって自分の気持ちいいところにあたってるか探りながら積極的に腰を動かしていき、快感に没頭していくところに引き込まれました。
Vlogスタイルは女優さんをより好きになるかも
絡み以外のパートの話を。本作は冒頭から自撮りをしながらこちらに語り掛ける「Vlog」スタイルを取り入れています。これがとてもかわいくて良い効果を生み出しています。少し緊張しながら、でも優しく声を張らない感じでこちらを見つめながら話すスタイルは、聞き手やカメラマンが前にいて語るのとはまったく違う親密さを見る側に感じさせます。女優という属性から少し離れた女性としての魅力も感じることができつつ、女優としての裏側的なところも感じることができ、もえちゃんへの感情移入の度合いが強まります。このパートだけ繰り返し見たいくらいです。
また、衣装も男性にアピールする服というよりも、女性が自分で着たいと思えるような観点から選んだファッションのように感じられるのも今回の雰囲気によくあっています。
「台本なし」という名の巧みな構成
作品の構造もよくできていると感じました。女優さんの語りを挟み込みながら絡みを見せるというのは王道のデビュー作を踏襲した形に思えますが、本作は
【前半】「引いた視点でクールに撮る/美しさを引き出す/どういうセックスが好きかの提示」
【後半】「ハメ撮りで親密な空間を作り出して撮る/かわいらしさを引き出す/前半で提示された快感ポイントを味わい尽くす」
という構造になっていると感じました。
前半と後半で撮影のテイストと見せたい魅力をがらっと切り替えながら、作品の縦軸として前半で提示されたポイントを後半で回収していく。作品としてまとまりがある印象です。台本なしと宣言されていますが、冒頭のVlogパート、インタビューパート、前半の絡み、後半前のVlogパート、後半の絡み、エンディングが伏線を張りながら巧みに構成されているように感じました。本当に台本なしの偶然の産物なのか、制作陣が力量を見込んで仕掛けて投げかけ、演者がそれにしっかりこたえたのか。あるいは演者同士のディスカッションめいたものがあったのか。真相はどうでしょうか。そんなその虚実の間、リアルとファンタジーの間を想像するのも楽しい作品です。
失われぬ初々しさと「第2章デビュー」
ストーリーや設定にはめこんで演技の力量を見せる形ではなく、本音や本性を引き出すと称してドロドロと追い込むのでもなく、いま天使もえとして見せたいのは何なのか、という問いを改めてシンプルに投げかけた本作。もえちゃんがそれを絡みで表現することで、結果として女優としての魅力が引き出されています。
なにより、トップクラスの女優として6年を数えてもなお、恥じらいと初々しさと可憐さを失わずに表現できる「天使もえ」という女優は希有な存在だと改めて感じました。
ドロドロのドエロやガツガツのハードが好きな人にはきれいすぎる作品かもしませんが、スタイリッシュな演出・構成と等身大のもえちゃんの魅力が上手に融合した、第2章のデビュー作にふさわしい作品です。